【review】アホでマヌケな大統領選

マイケル・ムーアinアホでマヌケな大統領選という映画を見た。


ユタ州の超保守的な地域にあるカレッジの学生自治会(俗に言う生徒会ってやつ)が
マイケル・ムーアを講演に呼んだことから始まる一連の騒動を追ったドキュメンタリー。


人々が描くアメリカ像とは違うアメリカの姿がそこにはあった。


ユタ州アメリカの中でも保守的な州で、共和党支持が根強い。
モルモン教徒が住民の過半数を占める、宗教心に厚い州でもある。


そんなところにある地元密着型のカレッジに
超リベラルなマイケル・ムーアを呼んでしまったものだから、
生徒は分裂、しまいには近隣住民が生徒会を訴える始末。


なぜアメリカ人は大統領選挙にそこまで熱心になれるのか。
この映画を見れば少しはわかるかもしれない。

全米で話題になるほど加熱したにも関わらず
当該の大統領選挙の若者の投票率は前回と大して変わらず、
っていうオチももれなくついてくるけど。


アメリカ人はみんな自由主義者
そんなのは幻想。


言論の自由表現の自由、信教の自由。


映画の中で何度もこの表現が出てきた。
ジェファーソンなどの建国の父まで出してくるんだから
アメリカ人はすごい。


日本人で例えると、伊藤博文明治維新の立役者を議論に持ち出すような感じだろうか。


もう一つ関心したのは、


AMERICA IS THE WORLD


と言わんばかりの自信。


他の人の主張なんて知ったこっちゃない。
人に何を言われても自分の言うことが正義なんだ、
と思いこんでいるような人が多かった。


話し合いをしたいなら論理的に議論する準備はできていると言いながら、
人の意見を聞く気なんて初めからないみたいだ。


結局大学は多額の寄付金を失い、
友情は崩壊し、
訴訟まで起きてしまった。


少しの寛容が皆にあれば、
もっと違う結果になったんじゃないか。


そう考えずにはいられない。



終始イライラする映画だった。
でも、現実はこんなもの。



「分裂したアメリカ」


というのがこの映画の副題のようだった。

外から見ていると、アメリカは単純な国に思えるけれど、
実際には非常に多くの問題を内包している。


ちなみに今は話題のマイケル・ムーアのシッコを観ている。


覇権国アメリカも大変だ。




※もちろん、ドキュメンタリーといってもバイアスがかかっているだろうことは承知しています。