サークルについて思うこと

私が所属していたのは学生の起業を応援する学生団体で、学生ベンチャーの支援をしたり、起業コンテストを開催していた。
流行の合宿型のコンテストではなく、「本気」の学生を応援することを目的としていた、らしい。


私は1年でサークルを辞めてしまったんだけど、昨日たまたまコンテストで優勝して起業までこぎつけたベンチャーの代表のインタビュー記事を発見して読んで、その理由について改めて考えさせられた。


その人は、コンテストで優勝したことで自信がついてきちんとビジネスとしてやっていこうという意欲がわいたから、ここまできたとおっしゃっていた。
運営側にはこの上ない褒め言葉だと思う。辞めた私も素直に嬉しかった。
でも、この言葉の捉え方が他のメンバーとは違ったんだな。


3月になって、今年以降の運営方針について考えていたとき、起業教育を主な活動目的とするのか、ベンチャー養成を主な活動目的とするのかで意見が割れた。
結局後者に決まったんだけど、私は前者を支持していた。
真剣に考えて、ベンチャーの立ち上げをしているハーバードMBAの方に話を伺いに行ったりもしたんだけど、そこで言われたこともそう言っている気がした。


1年間活動していて、今、学生時代にこういう活動をやることにどんな意味があるんだろうってすごくよく考えた。
就職活動でこういう活動をやっていると有利って皆言うけど、それは考え抜いた上でしっかり活動したらの話だし、コミットする時間を考えると生活に占める割合は結構大きかったから、そんなくだらない理由で4年間を無駄にしたくないって思った。
それを前提に、「社会人」でなく「学生」がやる意味は何なんだろうって考えていた。


ベンチャーキャピタリストがやっている本格派のコンテストは日本にもたくさんある。本気で起業したいんであればそっちのコンテストに参加したほうが、コンテスト中もメンターがしっかりフォローアップしてくれるし継続的な資金援助も期待できる。
「本気」を目指すんだったらそれに勝るコンテスト運営をしなきゃいけない。
海外には学生が運営するコンテストも多くあるけど、大学院生、特にMBAの院生がたくさん関わっていて、「学生」と言っても経験値も能力も桁違いだ。
そんなコンテスト運営が果たして今の私たちにできるのだろうか。
そう考えたとき、起業に関わるんであれば、ベンチャー養成でなく起業教育が主な目的になるんだろうなと思った。
ベンチャーを生み出すんでなく、ベンチャーマインドをつけるお手伝いをするということだ。


先のインタビューの代表はたまたま起業したけど、起業したかしなかったかが重要なんじゃなくて、コンテストに優勝したことによって起業が身近になった、自信がついた、ということが大事なんだと私は思う。
実際起業にこぎつけたのはその後ブラッシュアップに協力してくれたメンターの方々や、共同開発してくれた企業のおかげという部分が大きい。私たちがベンチャーを生んだんだ、と考えるのはおごり以外の何ものでもない。


そこに対する意見が、他のメンバーと違ったんだと、今ははっきり思う。
もちろん大きく考えて努力していくというのも時には必要だけど、自分たちの立ち位置を間違えてはいけないし、まずできることからしっかり固めていかないと土台がもろいままではいつか必ず崩れてしまう。


前は辞めた後のサークルの変化を聞いたりして複雑な感情を抱いていたんだけど、昨日インタビュー記事を読んだときは不思議とそういう感情を抱かなかった。考え抜いた上で辞めたつもりだけど、結局後からのこじつけなのかなと悩んだりもしたから、これも成長したってことなのかな。
やっぱり私は自分の選択が間違っていたと思わない。